2010年12月28日火曜日

原武史著「滝山コミューン 一九七四」

この本の主体は、
ある世代の教師達が、70年安保後の新興住宅地の小学校で、
思想的な側面から集団教育を行い、著者が実体験した数年の話。

一番興味深かったのは、
その小学校で行われた思想的集団教育とは、異なる教育。
別の側面「四谷大塚進学教室」(まだ都内でだけだった)
そして また別の側面「自由学園」についてだ。
著者は総経理よりも五つ年下だが、小学4 ~ 6年の3年間は、
この二つの場については、ほぼ同様の体験をしている。

最終目標の大学の為に、小学時代に受験技術を如何に身に付けるか?
総経理が「四谷大塚」に通った時期は、
ある世代の教師達が、教師になる数年前の頃。
中野教室へ通う道すがらの池袋、高田馬場、新宿。
御揃いのヘルメットを被って、アジる御兄さん方に憧れ、
一方 ブラブラしているフーテンの御兄さん方にも憧れる。
中学受験なんぞ眼中に無く 進学教室に通う 能天気な小学生。

さらに「自由学園」、「友の会」がらみで、
学歴偏重主義とは違う 自立して良い家庭を築ける人格形成?
小学低学年から「友の会おこづかいちょう」を使い、
毎月のおこづかいを如何に計画的に使用し、貯蓄するかを覚えた。
では無く、如何に粉飾決済し、漫画や駄菓子を買うかを覚えた小学生。

この二つの場は、当時の“中流家庭”の典型的な“教育指針”だ。

この本の思想的集団教育よりマスが大きく、地域性を持たないので、
切羽詰まらず、緩々と対処方法を身に付けていった。
二つの何とも相容れない様な“教育指針”のおかげで、
「別に 皆 同じじゃなくてもいいじゃないか」
「自分の中でも 矛盾する考えや行動があってもいいじゃないか」と
半ズボンを長ズボンに穿き替えて、
素直に真直ぐ曲って行く事にした。


マグロブツ、イカ