倉橋由美子さんの「スミヤキストQの冒険」を
初めて読んだのは もう 40数年前の事。
小学生後半から見学してきた と或る熱気が収束
悲惨な結末を迎える頃の事。
Qは 党の指令で ある地に赴き
理不尽な状況に陥り 右往左往する。
初めて読んだ時は その時の風の吹き方もあり
リアルな時代の話と思ったが
その後の倉橋さんの小説を読んでいく内に
分かったのは この小説は 奇譚なのだ。
紡がれるのは 縦糸と横糸
時には斜めにも 出鱈目に。
奇譚(小説)は 主人公をある難局に陥れ
ほ~ら ほ~らと主人公の内面を炙り出す。
時に終局は 大団円に見えながら to be continueなのだ。
いつまでも終わらない書き手の世界を
アッチに往ったり コッチに往ったり 彷徨うのは 読み手だ。
日常とは違う奇譚を
あたかも日常に魅せたのは 河野多恵子だ。
この作家二人は 私が読む本の一本の杭だ。
そして 本を読み続けながら
邂逅と巡礼の旅は 果てしなく続いて行く。