2015年1月12日月曜日

嘘は罪

私がその男を知った35年前の記憶では
男は東ベルリンの部屋で
雨に濡れた靴下とハッシュパピーの靴を
ヒーターに乗せて 乾かしていた。
立ち昇る臭気に顔を顰め
アイラのシングルモルトをチビチビ舐めながら
明日の事を考えていた。
男の名は チャーリー・マフィン MI6に所属していた。
 
ブライアン・フリーマントルのチャーリー・マフィン・シリーズ
第一作「消されかけた男」は こんな風に静かに始まった。
およそスパイの概念から 程遠いチャーリーに
魅了され このシリーズを読み続けてきた。
邦題は「・・・・男」と 「男」で終わっていた。
 
ベルリンの壁が崩れ 東西冷戦が終了した頃だったか
邦題に「男」が付かなくなり
その何作かは ほんのちょっと 魅力に欠けていた。
 
21世紀になって 米露対立 テロ対立にとなった頃
再び邦題に「男」が付くようになり
妻ナターリア(ロシア連邦保安局)と娘サーシャが絡み始め
チャーリー・マフィンは また不思議な魅力を放ち始めた。
 
紆余曲折があり 所属はMI5に変わった
「片腕をなくした男」「顔をなくした男」そして
三部作最終話「魂をなくした男」を読了。
 
最終話は 嘘と騙し合い もう誰が信じられんねん状態!
今回も 生き抜き ナターリアとサーシャに再会できた
チャーリーだけど 最終行には また謎かけが。
 
嘘は罪
お願いだからサーシャだけは 騙さないでね チャーリー・マフィン!