ある朝
目覚めると人工乳歯が
合わなくなっていた。
が
肉体固有の
サイゴノヒトハがしつこく居座っていた。
人工乳歯から
人工永久歯への生え変わりは
サイゴノヒトハが落ちてからだ! と 脳内神が宣言した。
以来
1年以上 人工乳歯に頼らず
何も噛め駄のアラレ状態で 生命維持活動を行ってきた。
で
ある朝
目覚めると
世界は
ダブル・ヴィジョンになっていた。
視る物
視る物
二つ見えるなんて オトクな眼に進化したのだ!
ステキだろ!?
眼は二つ
あるのに
視えるのが
一つなんて
悲しいだろ?
近い物は微妙な位置で 遠くの物は 離れて 二つ存在するんだよ!
車で走っていると
視た事も無い世界が視えてくる。
覚醒だ。
片目を閉じると
一つに視える
それが実体なのか
眩体かは
知らない。
プラグ・イン&プラグ・アウトde ナチュラル・トリップさ。
車を降りて
いつもの様に
立って
歩こうと
脳から
伝達した筈なのに
足は一歩を踏み出す仕草の真似をしてる。
車に凭れて
一服と 脳が手指にヤサシク伝達。
胸ポケットまで
ジワジワと上腕がニジリ寄り
プルトップを
ヨタヨタ開け
指が一本を抜き出そうと
ルーティン・ワーク行動をするが 指が掴んだ気持ちなっているだけだ。
永遠の時を無駄遣いし 朝の空に向けて 紫煙を吹き上げた。
紫煙は
揺ら揺らと
二重に舞い上がり
朝から
ギラギラ存在する
二つの太陽を覆っていった。
進化と覚醒の朝だった。