2019年6月25日火曜日

ボクは或る日


ある朝 目覚めると人工乳歯が 合わなくなっていた。
肉体固有の サイゴノヒトハがしつこく居座っていた。
人工乳歯から 人工永久歯への生え変わりは
サイゴノヒトハが落ちてからだ! 脳内神が宣言した。
以来 1年以上 人工乳歯に頼らず
何も噛め駄のアラレ状態で 生命維持活動を行ってきた。

ある朝 目覚めると 世界は ダブル・ヴィジョンになっていた。
視る物 視る物 二つ見えるなんて オトクな眼に進化したのだ!
ステキだろ!?
眼は二つ あるのに 視えるのが 一つなんて 悲しいだろ?

近い物は微妙な位置で 遠くの物は 離れて 二つ存在するんだよ!
車で走っていると 視た事も無い世界が視えてくる。
覚醒だ。
片目を閉じると 一つに視える それが実体なのか 眩体かは 知らない。
プラグ・イン&プラグ・アウトde ナチュラル・トリップさ。

車を降りて いつもの様に 立って 歩こうと
脳から 伝達した筈なのに 足は一歩を踏み出す仕草の真似をしてる。
車に凭れて 一服と 脳が手指にヤサシク伝達。
胸ポケットまで ジワジワと上腕がニジリ寄り
プルトップを ヨタヨタ開け 指が一本を抜き出そうと
ルーティン・ワーク行動をするが 指が掴んだ気持ちなっているだけだ。
永遠の時を無駄遣いし 朝の空に向けて 紫煙を吹き上げた。

紫煙は 揺ら揺らと 二重に舞い上がり
朝から ギラギラ存在する 二つの太陽を覆っていった。

進化と覚醒の朝だった。