2016年1月16日土曜日

或る日 僕らは~

高校一年の冬時
僕らは 担任の石部先生の吉祥寺のお住まいに伺った。
スキ焼で一杯だ。

柳小折を開け 片隅の牛脂を取り
温まった鋤鍋に 塗っていく。
鋤鍋に牛脂が塗られ すこ~し 白い 吐息が鍋から立ち昇る。

牛肉を薄く 貼り 長ネギを入れ
長ネギの表面が恥ずかしそうに頬を染め
牛肉が 心地良く 少し反り返った時
ヒタヒタ位 割り下を入れる。

焼き豆腐、白滝を入れ チョット 怒りんぼさんになったところで
春菊、白菜をテキゼン入れ 食べ処だ。

煮詰めるでもなく グツグツ煮る鍋でもないのが
スキ焼なのだ。

牛を溶き卵に和えながら頂く。
〆は 割り下が滲んだ肉以外の具を
卵でとじて 御飯にかけて 頂く。

僕達4人の大気汚染は
石部先生の隙間だらけの6畳アパートでも
ヘイズ状態だった。

で 石部先生は僕らに言った。
「酒は体にいいが それはね」って。