2019年6月27日木曜日

第53惑星のサナトリウム


ボクは 53惑星のサナトリウムに居た。
高原のサナトリウムと違って 「ウフフ」「ムハハ」と
白樺林でナースと追いかけっこをしたりする事が出来ない。
そんな大誤算のサナトリウムだ。

不快な環境音楽付きカプセルに入り 脳をスライスされ
血と尿をたんまりと吸い取られ
胸に吸盤を付けられたり
手指 足指に電極を嵌めて 電気ショック拷問だ。

腕を水平に挙げ 直立しろとか
真っ直ぐ 歩けとか 腿上げやら 膝を曲げろとか
顔を動かさず 眼を開いて眼球だけ動かせとか
フルメタル・ジャケット状態 或いは
時計じかけのオレンジ状態になる以外
ベッドに横たわり ヨロヨロと用を足しに行くだけだ。
生理食塩水ボトルと手の甲がチューブで繋がれていて
マンディーも着替えも できやしない。
3度のブレンダー食だけが 愉しみの そんな日々が 4日続いた。

Dr. Strangeloveから召喚された。
頭は悪いが 脳に異常は無い
血は奇麗じゃないが 血液に異常は無い
尿漏れがあるが 尿に異常は無い
心臓に毛が生えているが 心臓に異常は無い
眼球の動きと手足の反射が鈍いが
この4日間の投薬で 症状は沈静化した。
「キミをここから 開放する!」と Dr. Strangeloveは宣言した。

「なんのクスリだったの?」とボクは聞く。
「ただのビタミンBのサプリだ。」とDr. Strangeloveが答え
「キミは エ イ ヨ ― シ ッ チ ョ ―」と言いながら
チェシャ猫の様にニタリ笑いで 消失した。

2019年6月25日火曜日

ボクは或る日


ある朝 目覚めると人工乳歯が 合わなくなっていた。
肉体固有の サイゴノヒトハがしつこく居座っていた。
人工乳歯から 人工永久歯への生え変わりは
サイゴノヒトハが落ちてからだ! 脳内神が宣言した。
以来 1年以上 人工乳歯に頼らず
何も噛め駄のアラレ状態で 生命維持活動を行ってきた。

ある朝 目覚めると 世界は ダブル・ヴィジョンになっていた。
視る物 視る物 二つ見えるなんて オトクな眼に進化したのだ!
ステキだろ!?
眼は二つ あるのに 視えるのが 一つなんて 悲しいだろ?

近い物は微妙な位置で 遠くの物は 離れて 二つ存在するんだよ!
車で走っていると 視た事も無い世界が視えてくる。
覚醒だ。
片目を閉じると 一つに視える それが実体なのか 眩体かは 知らない。
プラグ・イン&プラグ・アウトde ナチュラル・トリップさ。

車を降りて いつもの様に 立って 歩こうと
脳から 伝達した筈なのに 足は一歩を踏み出す仕草の真似をしてる。
車に凭れて 一服と 脳が手指にヤサシク伝達。
胸ポケットまで ジワジワと上腕がニジリ寄り
プルトップを ヨタヨタ開け 指が一本を抜き出そうと
ルーティン・ワーク行動をするが 指が掴んだ気持ちなっているだけだ。
永遠の時を無駄遣いし 朝の空に向けて 紫煙を吹き上げた。

紫煙は 揺ら揺らと 二重に舞い上がり
朝から ギラギラ存在する 二つの太陽を覆っていった。

進化と覚醒の朝だった。

2019年6月20日木曜日

Just Ten Years Ago


2009年のオレは、勤務中毎日が暇だった。
2008年のリーマンショックの影響で 決まった仕事はキャンセルや延期
引き合いも来なかったのだ!

あ無公のササキくんと どうやって連絡を取ったのか覚えていない。
多分 勇造HPの掲示板かな?
オレは暇なんで 6.6円山で会おうって事になった。
高田さなえさんにも 会った。
オレ達は 四半世紀振りの再会だった。

その頃 勇造HP掲示板投稿でキリ番プレゼントをやっていて
電話回線より速い 会社のネットで キリ番に近づいた時
投稿したら キリ番をゲットしてしまった。
暇だった 10年前の事だ。

あれから丁度10年が過ぎたオレは 62歳になり
会社で 御隠居業務なので やはり 今年は暇なのだ。

あ無公長老の河本さんから7.6円山には行けないとメールが入った。
会えれば 35年振りの再会だったけどね。
「なぜか あのブツが7組発掘したから
園子さんに持って行ってもらうようにしたいから
連絡先を教えて」と。
ササキくんと園子さんもtoに入れて 河本さんに返信した。
数分後 あ無公最長〇の園子さんから LINEチャットが届いた。
「河本さんからメールが来た~! 35年振りだ~!!」
園子さん オレが送ったメールなんだけど。
更に チャットがバシバシ スタンプバシバシ 園子さんから届く。
「明日 曼荼羅だから ぜひ来てと 河本さんに伝えて」と。
ウ~ン オレは河本さんのメールしか知らないんだ。
素直なオレは 園子さんの伝言を河本さんにメールした。
勤務中にナ~二やっているのだオレは?と昼のデスクに頭打ちつけた。

まっ 10年経っても 暇だから それでいいのだ!