2016年1月29日金曜日

「いつも彼らは どこかに」小川洋子著

この本は 八つの短編で編まれている。
生きている 生きていた 生きていない動物が
各短編に 暗喩的に登場する。

期待される競走馬に 寄り添うだけの馬
ビーバーの頭蓋骨
ハーモニカを吹く置物の兎
空き缶に頭を支配された子鷺
餌を貰い 散歩に行く 置物の犬
スペルの末尾がhのチーター
寄生虫に 蝕まれる 蝸牛
身代わり硝子の中の 竜の落とし子

何かしら 一つ欠落を抱えている 
登場人物の琴線に 彼らが振れ 
チリンと少しだけ ハーモニーを 奏でる。

さて 欠落は埋まったのだろうか?
と 小説は 問う? 或は?

いくつもの欠落が 埋まらないまま
この娘が どこかにいってしまったら
僕の欠落は また一つ増えてしまう。



欠落が埋まらないまま また 過ごしていき
でも  欠落の底に温かい何かをチョットだけ
補填しようと思うのは 僕だけだろうか?


最近 ベッドの上で 少しだけ 目覚め 頭を枕の上に乗せていると
文句無しに 網膜を貫くベッドルームから見える 
新しいコンドミニアムの屋上照明。
この青は 眠るのには キツ過ぎる!


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